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The Remains of the Day (Vintage International)

The Remains of the Day (Vintage International) 人気ランキング : 19,495位
定価 : ¥ 1,677
販売元 : Vintage Books
発売日 : 1993-10
発送可能時期:通常24時間以内に発送
価格: ¥ 1,426
格調高いイシグロの最高傑作

すでに古典的存在となりつつあると思われる、ブッカー賞受賞の名作。イシグロの作品を一つ読むなら、絶対にこれをお勧めする。これ以上の完成度は、他の作品では残念ながら望めないと思われる。1930年代のイギリス。善意で行動を起こしていたのに、結果的には知らずに悪いものを助けてしまった貴族に仕えた執事の回想録。「自分ができる限りのことをして、自分より偉大なもののために仕えていると信じていたが、実際は自分のしたことはよかったのか?もしそうでなかったとすれば、自分の人生は無駄だったのか?」という問いが、全体を覆っている。感情を抑えた語り口が、かえって主人公のスティーブンスの思いを鮮やかに浮き上がらせているような氣がする。文章にもストーリー全体の流れにも無駄なところが全くない。小説はこうあるべきというそのままの小説。近年の書物にはなかなか見つけられない、dignityを感じさせる格調高い名作。何度も読みたくなる本だ。

将来的に「古典」となるような作品なのかな。

この本の「解説」で丸谷才一は「イシグロは大英帝国の栄光が失せた今日のイギリスを風刺している。ただし実に温和に、優しく、静かに。」と書いている。実にその通りだと思う。イシグロの小説に共通している「物語の静かさ」的な感覚は、『浮世の芸術家』と並んでこのブッカー賞を取った本書が最も体現していると思う。

長く読みつがれるであろう名作

 熟練の域に達した画家は、鉛筆のような素朴な道具を使い、ただ影の部分だけを緻密に描くことにより、壮大な構造物や輝ける風景を浮かび上がらせることができる。Ishiguro氏は、小説の世界において、同様の手法に成功していると思う。
 ダーリントンハウスにおける歴史的な会合の数々。それを黒子のごとく目立たず、ただ主人と客人をひたすらもてなすバトラーの立場から描いているがゆえに、なおさらその情景が華やかに浮かび上がる。ミス ケントンへの秘められた思いも、忠実に当時を回想し、ひたすらスティーブン自身の職務との関連づけにおいてのみ描き出しているがゆえに、直裁な表現を尽くすより一層その繊細でナイーブな心の揺らぎが伝わってくる。
 イギリス英語のよさである控えめで上品な言い回しの数々、スティーブンが時に披露するdignityに関する哲学、心に残るDAY FOUR-AFTERNOON。私は長く読みつがれる名作であると思います。

流れるような英語で

読んでいる最中、作者が
日本生まれの日本人であるということを思い出し、驚きました。
まるで流れるような、美しい英語で書かれているこの小説。
はたして日本人がこんなにも自在に英語を操る事が出来るのかと思い、
特にプロローグの文章には感動しました。
話は世界大戦前後にイギリスのお屋敷に使えていた執事“Stevens”の
彼の仕事への哲学と、その思い出を旅の最中に語る回想の形をとっています。
ジャンルとしては一応“淡い恋物語”らしいのですが、
決してそれだけの小説ではありません。
その時代とその土地の濃厚な雰囲気がよく伝わってきます。
人間の描写もとてもよく出来ています。
いわゆる喜劇では全くないのですが、
人物のにじむような哀しさや暖かさ、その背中を感じる事が出来ます。

あるイギリスの執事さんの回想録みたいなかんじ

単に執事さん好きだという邪でくだらない思いで読んだこの本。活字と難しいことが苦手なのでちゃんと最後まで読めるかどうか不安でした。
同僚の女中頭ミス・ケントンに会うために自動車旅行をする執事さんことスティーブンスが昔の回想をするというストーリーですが……難しい話が嫌いな自分にこれを説明するのは困難です。
理想の主人ダーリントン卿、立派な執事だった父、そしてときには対立し、それでもよき同僚だったミス・ケントンへの想い。自分が考える「執事」というもの……なんだか色々話がありますねえ……ダーリントン卿の話がらみは第2次世界大戦前のイギリスの話です。ドイツがたくさんの賠償金を払わされ、ヒトラーが出て、イギリス譲歩して……ここらへんの世界史を知らないと「何言ってんだこれ?」になるかも。それに加えて自分の執事像を語る場面がありますね。こんな職業日本にないから「マジですか?」と思うところがあります。なんか武士っぽい感じ……(違うな、きっと)。
その話と双璧になるミス・ケントンの回想。執事としていっさいの私情を挟まないスティーブンスと、感情出まくりのミス・ケントンはとにかく対立しますねえ……見ていて腹が立ちますが(個人的な好き嫌いです)……それでも読者に対してスティーブンスはミス・ケントンに対する自分の思いを言わないのだから、プロですね。
最後の最後にミス・ケントンと再会し、ようやくここでスティーブンスの彼女への想いがわかります。そして、ダーリントン卿が悲劇的な最期を遂げたことで、自分は一体何だったんだろうと話すこの2つの場面は、初めて読者に自分の率直な感情を伝えているようで、ようやく人間らしい彼が浮き彫りにされているみたいです。最後までがんばって読んで報われました。個人的にこの2つのシーンとと、父が危篤になっても執事として自分の信念を貫いたシーンが大好きです。萌えます。
でも、ジョークが言えるよう真面目に考えて練習しようと意気込む執事らしいスティーブンスはもっと好きです。……電車男並に応援したくなる……。

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